あなたからの卒業

 

あなたに一目惚れした日から

今日の日が来ることはわかっていました

あなたは私の先輩で

わたしは大勢の後輩の中のひとり

ただそれだけ

だから ずっと ずっと 見つめてた

 

いまでも好きです

でも あなたに告白することは

とうとう出来なかった

なぜだろう

あなたを見つめているだけで

幸せだったから?

 

そのことに嘘はない

あなたを想っていたことにも

一つの嘘もなかった

告白出来なかったのは

勇気がなかったから?

うんうん それだけじゃない

あなたに 告白することで

あなた自身に変わって欲しくなかったから

わたし自身が変わりたくなかったから

 

幼かったんだね

それでも 真剣だったんだよ

あなたの想い出たどるとき

胸がきゅんとなるよ

 

卒業式が近づいて

あなたに逢えなくなる日を指折り数え

切ない日々を過ごしたあの頃よりも

あなたを想う気持ちは

現在(いま)の方がずっと ずっと 大きいけど

 

あなたを想い続ける日々に

ピリオドを打とうと思います

あなたからの卒業式をこれから行います

きっと想い出は セピア色の風に乗って

あなたの元へ届くでしょう

そんな夢を見ながら…

 

★1996.12.19の作品です。
『ゆめがたり』第3号に載せて頂きました。
この号のテーマは、卒業でした。

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